オプション取引をターゲットに
極端な話、購買の担当者は百社に注文書を出さなくてはいけないことになる。
そのうち99社が部品を納める、ところが、残り一社が何らかの理由で納期遅れを出す。
そうするとお客は全部揃っていないからラインに流せない、しかし、99社には約束通り、お金を払わなくてはいけない。
そうすると、ラインは止まるのに、キチンと納入してきた仕入先にはお金を払わなくてはいけない。
ところが、K電子に一枚の伝票で百アイテム発注すると、K電子が百アイテムをすべて集めるわけだ。
それで一個でも集められなければ、お客に納められない。
だから、この意味では、工場の生産ラインが止まるというリスクは一緒だ。
しかし、このお客にはまだ部品を入れていないから、一切、K電子にお金は支払わない。
だから、お客からすれば購買の効率化が図れるし、なおかつ、資金の有効利用ができる、というメリットがある。
さらに、お客が百社に100アイテム発注して総額が1万円だとしたら、K電子に1万円もしくはそれ以下で発注できればコストダウンが追求できる。
このことをTたちは、一生懸命お客にアピールし、キットで注文してくれるように頼んだ。
だから、例えばBメーカーからお客に、これはA社のテリトリーだと言われても、「いやうちはキットでK電子に発注している。
だから、Kはうちの代行で発注したのだ。
K電子の軸はぶれない。
あくまでも独立系の電子部品商社なのだ。
独立系というのは、どの色にも染まらないで中立純粋に、どのお客のためにも全力で尽くすといみ昔挫味から、Kの言うことを聞いてやってくれ」というふうに答えてくれる。
そういうことの積み重ねで、K電子は、部品を売ることができ、成長することができた。
それもこれもすべては部品を売るために考え出したニッチを突いた手法だった。
しかも、この手法は、営業の5つの原則にも合致している。
営業の王道なのだ。
今、K電子は日本の商社型EMS企業の代表格のようにいわれている。
EMSもあくまでも部品を売ところが、さすがに負担が大きくてできないという時に、K電子が、「うちは協力工場を何社も中国国内に持っています。
うちに完成品の注文をいただけませんか。
そうしましたら、私どもの協力工場で、中国の安価な労働力を使ってお客様の望まれるものをお作りいたします。
立ち上げ時だけは、申し訳ありませんが、1、2ヵ月技術者の方に来ていただいて、それだけで結構です」と営業をする。
工場のラインが流れはじめたら、技術者はもう帰っても大丈夫というわけだ。
そうすると、お客はK電子に依頼することで、安価な中国の生産・労働力を利用することができるので2重3重のメリットがある。
ただ一つの条件は、その代わり部材は、うちか今、中国が大変脚光を浴びている。
中国には、豊富で安価な労働力がある。
しかし、その安価な労働力を使うためには、セッTーカーが中国に工場を造らなくてはいけない。
人も出さなければならない。
すなわち、不動産も持たなければならないし、生産のための技術者も人も出ざなければならない。
さまざまな膨大な投資が中国に対して必要になる。
お客とすれば、どこで生産をするにしても、生産のコストはかかる。
前述のキッティングと同じように、同じコストだったら、K電子を使おう。
そうすると、安価で信頼できる労働力を使って、低価格の商品を製造することができるようになる。
そして、「もしご希望があれば、出荷までうちのほうでやりましょうという提案する力も持っている。
通常、中国で生産したものは、一回日本に戻して、それをアメリカやヨーロッパに出荷するという流れだ。
「それを私どもK香港が、もしご希望があれば、実費だけでやらせていただきます」と提案する。
そうすると、お客からすれば、カントリーリスクや投資というリスクをとることなく、唯一、K電子グループから部材を買うという条件だけはあるものの、非常にメリットがある。
これも前述のキッティングの変型だ。
こういった工夫の源は、商権がなかった独立系だから、必然的に生まれてきた。
お客に最も付加価値の高い方法を提供して、採用してもらえなかったら、企業を存続させることができなかったからである。
そうした生い立ちで育ってきたから、Tがよく言うように、野武士として逞しく育つしかなかった。
系列系の商社のような、庇護してくれる親がいなかったがゆえの必然だった。
生きていくための必要な知恵だった。
その知恵がニッチを突く、営業の王道を自然のうちに歩かせ、体得きせることとなった。
現在、K電子グループは、営業力をベースに、売り上げ約2千億円、社員数は約2500名を数え、ワールドワイドなエレクトロニクスの総合商社として成長を続けているが、その事業内容は、情報機器(パソコンおよびその周辺機器)の販売専用半導体から各種ソフトウエア、情報通信システムなどの企画・開発・販売、IT(情報システム商社)関連ビジネス半導体EMS(メモリー、ASICなど)の販売と、川上から川下までの独立系の特徴を活かした輸出入(貿易商社化)を含め、優れた国際的な部品調達を強みとして、多彩な事業を展開中。
グローバル・メガコンペティションの厳しいビジネスに果敢にチャレンジしている。
また、技術革新の進むエレクトロニクス業界の先端企業として、グループ内の技術開発部隊をK電子本社に集約、技術商社化し、強化、効率化を図るとともに、国内外のベンチャー企業と積極的に業務提携・資本提携を締結して、ビジネス拡大に努めている。
このようにK電子は、小回りの利く部品商社をベースとして、製造商社、技術商社、貿易商社、情報システム商社という5つの顔を持つ会社に進化している。
同時にグループ各社の総合力を駆使し、ダイナミックに変化するエレクトロニクス業界において、時代の流れに機敏に対応、またリスク分散能力の高いメカニズムを機能きせながら、打たれ強い企業体質で、世界に飛躍する「日本一のエレクトロニクス総合商社」を目指している。
その一方、根本には、地を這うような地道な営業活動が大木の太い根のように、また、磐石の土台を築くように、根毛を四方八方に張り巡らしている。
人それぞれ成功の流儀があるが、Tの経営は、次にあげる25文字の経営王道のセオリーに合致している。
この25文字は、エッセンスそのものであるが、Tは自然体で、これら25の要素を駆使し、2千億円企業の営業ベンチャーを創造した。
一勢攻守縁とは、K電子は、ビジネスをエレクトロニクスという一点に絞り、業界ナンバーワンを目指し、波の勢いに乗りつつ、攻守のバランスを取りながら、人との縁を何よりも大切にして、熱く勝利に向かい、挑戦(トライ)、勝利してきた。
攻守のバランスの攻とは、失敗は向こう傷のトライや、積極的営業などであり、守とは、与信管理や受.発注原則や売り買いのバランスなどである。
「道天地将法」は、他社、競合との競争力や強さの比較をする5つの基準である。
道とは、人の道であり、Tは両親から人間としての正しい生き方を学び、その遺伝子を引き継ぎ、経営に実践してきた。
同時に道とは、ビジョンや目標に従って、全社員が上下一体となって、ベクトルを合わせて仕事をしているかという基準でもある。
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